バックテストの成績は、
作り手が一番甘く見ている数字です
「バックテストでは右肩上がりだったのに、本番で動かすと負ける」。これはEAを使う人の多くが通る道です。TeamREIもEAを作る側として、検証の数字が本番でどれだけ目減りするかを何度も確かめてきました。この記事では、その実例と、ずれが生まれる原因をまとめます。
先に結論
- バックテストの成績は、本番より良く出るように偏っています。足の中の順番・スプレッド・滑りを甘く見やすいためです。
- TeamREIの金のEAは、分足の検証からティックで確かめ直すと利益の約4割が消え、商品化をやめました。
- たくさんの設定を試すほど、「たまたま良かった設定」が残ります。約7,600通りを試しても、基準を超えたものはありませんでした。
- EAを選ぶときは、検証の期間と、公開後の成績を分けて見るのが近道です。
TeamREIの検証で、成績が目減りした実例

① 金のEA:利益の約4割が「分足の見え方」だった
金(XAUUSD)のブレイクアウト型のEAを分足で検証すると、年+14.5R・シャープレシオ1.03という成績でした。これをMT4のティック11年分で確かめ直すと、年+8.5R・シャープレシオ0.60まで下がりました。
原因は、損切りの判定です。売りの損切りは買値で判定されるので、チャート(売値)で見るよりスプレッド1つ分早く発動します。損切りの幅に対してスプレッドの比率が大きい時期ほど、分足の検証との差が広がりました。最大ドローダウンが利益の4年分以上になったため、商品化をやめています。
② 建て方:良く見える建て方ほど目減りする
同じブレイクアウトでも、「値段が線に触った瞬間に建てる」と、分足の検証で最も良く見えます。しかし損切りの滑りを入れて計算し直すと、PFは1.196から1.100まで下がりました。「足の終値で確認してから建てる」形にすると、1.138から1.103と目減りが小さく済みました。触った瞬間に建てる形は、値動きの荒い足ばかりを選んで建てることになるためです。
③ 見かけの好成績:利益の正体が「気配の歪み」だった
ニューヨークの午後に売って数時間後に決済する戦略が、検証では+9,364pips・勝率61.27%になりました。調べると、決済の時刻がニューヨーク17時の取引日の切り替わりに重なっていて、その瞬間だけ売値が数pips落ちる歪みを利益として数えていました。決済を切り替わりの手前に移すと、5通貨ペアのうち4つがマイナスに反転しました。
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1. 足の中の順番が分からない
1本の足の中で、利確と損切りの両方の値段に届いていた場合、どちらが先だったかは足のデータからは分かりません。MT4のストラテジーテスターも、履歴が分足までしかなければ足の中の動きを推定で作ります。利確・損切りの幅が狭いEAほど、この推定の影響が大きくなります。
2. スプレッドを固定で計算している
テスターでは、スプレッドを固定の値にして検証することが多くあります。本番では、日本時間の早朝や経済指標の前後に大きく広がります。
3. 約定の滑り・注文の拒否
損切りは、相場が速く動くと指定より不利な値段で約定します。業者によっては、今の値段から近すぎる損切り・利確は注文ごと断られます(エラー130)。
4. 気配の歪みを利益として数える
上の③の例です。取引日の切り替わりの瞬間には売値だけが落ちて戻ることがあり、ちょうどそこで決済する戦略は、検証だけ良く見えます。
5. 過去に合わせすぎる
パラメータの組み合わせを大量に試すと、偶然その期間にだけ合った設定が上位に残ります。TeamREIが7通貨ペアで約7,600通りの設定を検証したときは、商品化の基準(PF1.3以上)を超えたものは1つもありませんでした。勝率70.7%なのに1回あたり−1.47pipsだった設定もあり、勝率の高さと利益は別物です。
6. 履歴データの抜けと古さ
MT4の履歴は、業者や時期によって欠けていることがあります。足の本数が十分でも、途中が抜けていたり、最新の足が古いままのことがあり、そのまま検証すると結果が変わります。
EAの成績を見るときの見抜き方
- 検証の期間と、公開後(本番)の成績を分けて出しているか。混ぜた累計では、本番でずれているかが分かりません。
- 検証に使ったデータは何か。ティックか分足か、スプレッドはいくらで計算したか。
- 検証の前半と後半で、成績が大きく違わないか。後半だけ悪いなら、前半に合わせすぎている可能性があります。
- 利確・損切りの幅が数pipsではないか。幅が狭いほど、足の中の順番とスプレッドの影響を受けます。
- 最大ドローダウンと、そこから戻るまでの期間。
TeamREIの成績の出し方
TeamREIでは、この記事の反省をもとに、シグナルやEAの成績を「検証の期間」と「公開後の期間」に分けて並べ、検証との差もそのまま出しています。うまくいっていない期間も消していません。
この記事のあとに
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データについて
・この記事の数字は、TeamREIが自社のEA開発で行った検証(7通貨ペアの分足 2015〜2026年、金はMT4のティック11年分)によるものです。
・Rは「1回の取引で損切りにかかった金額」を1とした単位です。
過去の検証の結果で、将来の成績を示すものではありません。情報提供を目的としたもので、特定の取引や口座開設を勧めるものではありません。