落ちる理由は
ほぼ全部「1日の損失」でした
プロップファーム5社の条件比較で、各社のルールを並べました。この記事はその続きで、そのルールを、当サイトが11年7ヶ月ぶんを持っている実在の売買記録に当てはめたら何が起きるかを出します。「日次5%です」と書くだけでは、それが自分の手法にとって何を意味するか分かりません。そこを数字にします。
この記事から読み始めた方へ。プロップファームとは何を買う契約なのか、どこで落ちるのかという仕組みそのものは、プロップファームとは?仕組みと、受ける前に見ておく3つのルールに書いています。当サイトはプロップファームをすすめる立場ではありません。受けると決めた方が条件を自分で確かめられるように、公式の規約だけを読んで並べています。
先に結論
- 落ちる理由は、ほぼ全部「1日の損失」でした。「全体の損失」で落ちたのは、多くても6.7%です。10%の枠に余裕があると思っていると、その手前の3%や5%で終わります。
- 賭けを小さくすると、落ちないかわりに受かりません。1回の負けを口座の0.10%に抑えると失格はほぼ0になりますが、500営業日走らせても利益目標に届かない「未決」が5.6〜18.7%出ました。
- この手法をそのまま持ち込むなら、1回の負けを口座の0.25%あたりまで。それを超えると、11年7ヶ月のどこかで全体の線に触れます。
- ここで出る失格率は「下限」です。確定した損益しか使っていないので、実際にはこれより落ちやすいと考えてください。
1. 何を測ったか
使ったのは、当サイトが11年7ヶ月ぶんの売買記録を持っている自動売買プログラムの記録です。このプログラムは現在、公開を止めていますので、商品名は出しません。この記事で使うのは、あくまで「実在する売買の並び」としてです。
| 中身 | |
|---|---|
| 期間 | 2015年1月5日 〜 2026年9月17日(11年7ヶ月) |
| 取引 | 3,256件/取引のあった日 1,826日 |
| 通貨ペア等 | EURUSD・XAUUSD・NAS100・US500 |
| 1回あたりの平均の負け | 口座の0.268% |
挑戦は、取引のあった日ごとに1回ずつ始めました(1,826回)。合格か失格が決まるまで最大500営業日走らせ、決まらなければ「未決」としています。
横軸を「1回の取引で口座の何%を賭けるか」にした理由
失格率を1つの数字で出すと、答えが「ロットをいくつに置いたか」で決まってしまいます。口座10万ドルで0.1ロットなら失格0%、10ロットなら100%。どちらも本当ですが、どちらも相場の話ではありません。だから曲線にしました。自分がふだん1回にどれくらい賭けているかを思い出して、その位置を見てください。
2. この測り方の弱点(先に書きます)
ここで出る失格率は「下限」です
- 確定した損益しか使っていません。持っている最中の評価額の上下が入っていないので、日次の損失も全体の損失も、実際より少なく出ます。各社が見ているのは評価額なので、本当はもっと落ちやすいはずです。
- スプレッドが開く時間帯の目減りも入っていません。別に測ったところでは、1ロットで日次の線の0.4〜1.3%にあたります。
- 口座が増えてもロットを増やさない置き方で計算しています。増やしていく置き方では、結果が変わります。プロップの受験は期間が短く、資金は自分のものではないので、増やさない置き方のほうが実態に近いと考えました。
- 1つのEAの記録です。「この手法だと」以上のことは言えません。
- 当てはめたのは、公式から条件が全部そろっているプランだけです。
3. 結果
FTMO 1ステップ(利益目標10%/日次3%/全体10%・日終わりで引き直す/ベストデー50%)
| 1回の平均の負け | 合格 | 1日の損失で失格 | 全体の損失で失格 | 未決 |
|---|---|---|---|---|
| 0.10% | 81.3% | 0.0% | 0.0% | 18.7% |
| 0.25% | 64.0% | 34.2% | 0.0% | 1.8% |
| 0.50% | 49.5% | 42.7% | 6.7% | 1.1% |
| 1.00% | 48.2% | 50.9% | 0.4% | 0.5% |
| 2.00% | 25.6% | 74.2% | 0.0% | 0.2% |
FTMO 2ステップ(利益目標10%/日次5%/全体10%・固定/最低4取引日)
| 1回の平均の負け | 合格 | 1日の損失で失格 | 全体の損失で失格 | 未決 |
|---|---|---|---|---|
| 0.10% | 81.3% | 0.0% | 0.0% | 18.7% |
| 0.25% | 78.6% | 19.6% | 0.0% | 1.8% |
| 0.50% | 75.7% | 22.2% | 0.9% | 1.1% |
| 1.00% | 66.1% | 26.8% | 6.6% | 0.5% |
| 2.00% | 60.0% | 35.3% | 4.5% | 0.2% |
同じFTMOでも、1ステップと2ステップでここまで違います。日次が3%か5%かの差です。1回の負けが0.50%のとき、合格は49.5%と75.7%。1.5倍以上の開きが出ます。
Fintokei チャレンジ/Funded7 2フェーズ(利益目標8%/日次5%/全体10%・固定/最低3取引日)
| 1回の平均の負け | 合格 | 1日の損失で失格 | 全体の損失で失格 | 未決 |
|---|---|---|---|---|
| 0.10% | 94.4% | 0.0% | 0.0% | 5.6% |
| 0.25% | 82.0% | 16.2% | 0.0% | 1.8% |
| 0.50% | 82.7% | 15.6% | 0.9% | 0.8% |
| 1.00% | 69.6% | 25.0% | 4.9% | 0.4% |
| 2.00% | 64.7% | 31.0% | 4.2% | 0.1% |
この2社が同じ数字になっているのは、偶然ではありません。この測り方では2社の違いが出せないためです。理由は6章に書きます。
0.25%から0.50%にすると、合格がわずかに上がっています(82.0%→82.7%)。賭けを大きくしたのに、です。理由を数えました。挑戦が決着するまでの平均日数が、90.5日から41.7日へ半分以下に縮んでいます(「未決」も1.8%→0.8%)。利益目標に早く届いて挑戦が終わるので、1日の損失の線に当たる機会そのものが減るためです。ただしこの効果は0.7ポイントしかなく、1.00%を超えると、日次で落ちるほうが大きくなって逆転します。
当てはめなかったプランと、その理由
調べた13プランのうち、当てはめたのは上の4つだけです。残りを飛ばした理由を書きます。空欄のまま黙っているより、そのほうが確かめやすいはずです。
| プラン | 足りなかったもの | 理由 |
|---|---|---|
| FundedNext 5プラン | 1日の損失の基準 | 日の区切りは公式ヘルプで分かりました(サーバー時間の0時)。ただし1日の損失を、その日の「残高」から測るのか「評価額」から測るのかが公式にありません。建玉を持ち越したときに線の位置が変わるので、一意に決められませんでした |
| Fintokei 速攻プロ | 1日の損失/全体の損失 | 日本語の公式ページと英語の公式サポートで、数字が食い違っています(日次2%と3%、全体3%と6%) |
| Funded7 1フェーズ | 1日の損失 | 公式のプラン表と公式FAQで、数字が食い違っています(5%と4%) |
| Fundora 2フェーズ | 1日の損失の基準ほか | 1日の損失が5%であることは書かれていますが、それが何に対する5%なのかが公式にありません |
受験のルールについて、5社のうち2社で、同じ会社の公式ページ同士が食い違っていました
Fintokei の速攻プロプランと、Funded7 の1フェーズプランです。どちらも「1日にいくらまで負けてよいか」という、いちばん直接に失格へつながる数字です。当サイトはどちらが正しいかを決められないので、数字を出していません。公式ページが直れば載せます。
もうひとつ、同じ会社でもプランによって全体の損失の方式が違いました。Funded7 は、2フェーズが「スタティック(固定方式)」で、1フェーズと速攻プランが「トレーリング(追尾方式)」です。会社の名前で覚えると外します。プラン単位で見てください。
4. 読み違えやすいところ
① 落ちる理由は、ほぼ全部「1日の損失」
どのプランでも、失格の大半が1日の損失の線でした。全体の損失で落ちるのは、多くても6.7%です。「全体は10%まで大丈夫」と思って受けると、その手前にある3%や5%で終わります。見るべき順番は、全体より先に日次です。
② 賭けを小さくすると、落ちないかわりに受からない
1回の負けを0.10%にすると失格はほぼ0になりますが、500営業日走らせても利益目標に届かない「未決」が5.6〜18.7%出ます。落ちにくさと、受かるまでの速さは、同じつまみの両端です。片方だけを良くすることはできません。
③ 「全体の損失で失格」が途中でいちばん多くなる
FTMO 1ステップだと、0.50%のとき6.7%、1.00%のとき0.4%と下がります。安全になったわけではありません。大きく張ると、全体の線に届く前に1日の線で落ちてしまうからです。数字が小さいことと、危なくないことは別です。
5. 全体の線(10%)に対して、どこまで賭けられるか
失格率と同じで、ドローダウンも賭け方で変わります。「最大DDは◯%です」と1つの数字で言うと、同じ取り違えになります。
| 1回の平均の負け | 全期間を通した最大ドローダウン | 全体の線10%に対して |
|---|---|---|
| 0.10% | 3.36% | 線の内側 |
| 0.25% | 8.39% | 線の内側 |
| 0.50% | 16.79% | 線の外側(触れる) |
| 1.00% | 33.58% | 線の外側 |
| 2.00% | 67.16% | 線の外側 |
この手法をそのまま持ち込むなら、1回の負けを口座の0.25%あたりまでに抑えないと、11年7ヶ月のどこかで全体の線に触れます。
この数字も確定ベースです。持っている最中の評価額の上下が入っていません。プロップが測るのは評価額なので、本当の余裕はこれより少ないはずです。外している向きが分かっているので、「少なくともこれだけは要る」という読み方ができます。
では、このEAの実際の張り方はどこにいるのか
線に触れる境目を計算すると、1回あたり0.298%——約0.30%です。そしてこの記録の実際の張り方は、1回あたり0.268%。通しの最大ドローダウンは8.98%でした。
全体の線10%の内側ではありますが、余裕は1.02ポイントしかありません。しかもこれは確定ベースなので、本当の余裕はこれより少ないはずです。
当サイトが11年ぶんの記録を持っている手法を、そのまま持ち込んでも、この距離です。上の表で「0.25%あたりまで」と書いたのは、境目の0.298%を切り下げた安全側の目安です。
FTMO 1ステップだけは、この表と別に考えてください
1ステップの全体の損失は日終わりで引き直すトレーリングで、確定した日終わり残高の最高値に追いかけてきます。利益が出るほど床が上がるので、「初期資金から10%」で固定の会社と同じようには比べられません。上の表は固定の会社を前提にしています。
6. この測り方で、測れていないこと
3章で Fintokei と Funded7 がまったく同じ数字になりました。ルールが同じだからではありません。
| 会社 | 1日の損失の基準 |
|---|---|
| Fintokei | その日の開始時点の評価額 |
| Funded7 | 前日の終値残高 |
確定した損益しか無い記録では、この2つは同じ値になります。建玉を持ち越していないのと同じ扱いになるからです。2社の違いは、まさに「持ち越したとき」にしか出ません。この測り方では、そこが測れていません。
持ち越したときに何が起きるかは、比較の記事の「基準が『残高』か『評価額』かで、危ないほうが逆になる」に書きました。この記事の数字と、あちらの説明は、別のことを見ています。どちらか一方では足りません。
この記事が言っていないこと
ここで出したのは「ある1つの手法に、各社のルールを当てはめるとどうなるか」だけです。合格しやすい会社の順位ではありませんし、この賭け方なら受かるという話でもありません。手法が違えば、数字は変わります。合格を保証する方法はありません。
この記事の出どころ
・売買記録:当サイトが持っている自動売買プログラムの記録です。2015年1月5日から2026年9月17日まで、3,256件、取引のあった日1,826日。損益は口座に対する%で保持しています。このプログラムは現在、公開を止めているため、商品名は出していません。この記事は、そのプログラムの成績を示すためのものではなく、実在する売買の並びに各社のルールを当てはめると何が起きるかを見るためのものです。
・各社のルール:FTMO・Fintokei・Funded7の公式ページを、2026年9月23日に当サイトが閲覧して書き写したものです。どのページのどの記載かは比較の記事の末尾にまとめています。ルールは各社が改定します。
・計算の方法:取引のあった日ごとに挑戦を1回ずつ始め(1,826回)、合格・失格が決まるまで最大500営業日走らせました。横軸は、記録にある全部の取引に同じ倍率をかけて、1回あたりの平均の負けが指定の%になるようにしたものです。口座が増えてもロットは増やしません。
・スプレッドの目減り:当サイトがDukascopyのティックデータから作った1分足(買値と売値を別々に保持)で、2015年から2026年までの主要10通貨ペアを集計した実測値です。
・当サイトは、この記事に出てくるプロップファームのどこからも報酬を受け取っておらず、各社への紹介リンクも置いていません。記事の末尾には、当サイトが提携しているFX会社の広告と、当サイトの無料ツールの案内があります。また当サイトはMT4・MT5向けの取引ツールを販売しています。